社会シミュレーションの意義

よりよい社会システムを作るために、いろんな方々で議論して、規制はどうあるべきか、

どういうルールで行うべきか、よりよい社会システムを作ることは人類にとって

あらゆる分野で必要なことだと思う。

そんなとき、歴史を学んだり、過去の事例を解析したり、アンケート手法をとったり

と有用な手段は多い。これに加えコンピューターシミュレーションを加えると、

未知の事例や過去事例が少ないもの、または、まだ試していない規制やルールの効果を

あらかじめ推定することができる。シミュレーションは議論するコミュニケーションツールとして

たいへん有用であると思う。

例えば、自然災害やテロが起きた時、最近の事例だと、インフルエンザが流行った時などの

対応方法はシミュレーションで多く研究されていて、大きな成果を出しつつある。

(例えば、http://www.absss.titech.ac.jp/index.html

しかし、今回の金融危機においては、どういう規制が必要だったのか、

どういう金融システムがいいのか、これからどうすべきかに関して、

シミュレーションという手段はほとんど有用に使われていない気がする。

金融の場合は、おこった事象に対する原因が多く、因果関係も複雑なので、

過去事例の調査や成立しているのかどうかよくわからない比較的単純なモデル

複雑系的なアプローチが必要ないレベル)だと、議論が収集つかなくなりやすい。

(実際、そうなっていると思う)


そこで私は、金融においてもシミュレーションを手段とした

コミュニケーションをすべきだと考えている。

最終的には、官僚、学者、実務家がこのツールも含めて議論することによって、

初めて、よいよい金融システムに向けた議論が進むのではないかと考えている。


そんな話を、以下の場所で行った。

http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?SIG-FIN-003-Invited

http://www.kishii.ss.is.nagoya-u.ac.jp/~tori/society/sig-fin/pukiwiki/index.php?plugin=attach&refer=SIG-FIN-003-Invited&openfile=SIG-FIN-003-Invited.pdf

この様子は参加者の方にもご紹介いただいている。

http://xn--p8ja5bwe1i.jp/mt/mt-tb.cgi/3093

私たちの研究は、こんな思いで始まったのだが、まだまだ官僚に持っていけるレベルにない。

まずは、学者と実務家がそこそこ納得するところまで持っていくのが目標。