マーケッティング感2

必ずマーケッティング感1から読んでください。
http://blogs.yahoo.co.jp/mizuta_ta/10212800.html


■  非営利団体と普通の企業の違いは?
このように考えると今まで明確に区別できていたつもりのものが、どう区別すればよいか分からなくなってきます。そう、非営利団体営利企業の違いです。

■  非営利団体と普通の企業の違いは?
NPO特定非営利活動法人)をやっている人と話す機会がけっこうあるのですが、抱えている悩みとか具体的な活動とかは、営業だったり、なにか商品を作ったりと、案外変わりません。利益を出すことは活動を継続させるために必要とされ、けっこうグッツを売っていたりしますし、「どうやったらグッツが売れるかなぁ?」といった相談を受ける場合も結構あります。企業は社会の中で何かしらの役割を果たし、その対価としてお金を得ていることは今まで述べてきましたが、これは非営利団体もまったくそのまま当てはまるのです。

■  NPOと企業の制度上の違い
NPOは税金が優遇されている代わりに、やってもよい事業が限定列挙されており、設立時にどれを事業にするか決めます。その決められた事業以外も行うことが可能なのですが、その他事業では全体の半分以下の利益しか出してはいけないことになっています。働いている人への給与は企業と同じように支払われます。ただ、得た利益は事業を継続するためにしか使えず、法人の所有者に還元したりはできません。つまり株主への還元みたいなことはできませんが、働いている人に還元することは可能です。

■  企業でやっていることはNPOでもできそうだが・・・
原理的には限定列挙の中に加えてもらえれば、ほぼ全ての企業の活動はNPOでもできると思います。じゃあ、NPOなんて必要あるのか?という疑問も出てきます。NPOがなぜ必要で、なぜ税金が優遇されているかといえばつまり、「明らかに社会にとって必要な役割であるが、そのお礼であるお金を受け取る方法、つまりビジネスモデルが今はまだはっきりしない活動」に対してとりあえず支援しておこうということなんだと思います。社会の役に立っていればそのお礼としてお金が入ってくるべきです。お礼を受け取とる方法をビジネスモデルと書きましたが、このビジネスモデルが確立されれば、NPOではなく普通の企業になっていったり、もしかしたら国の事業になったりしていくのだと思います。

■  最近の経営学と情報革命
最近、経営学マーケティング論の両者は近づいてきており、「レビットの理論から再出発して考えよう」という流れが多くなってきています。なぜ「顧客へ価値を提供する」という原点に戻ってきたか、というより原点に戻らざるを得なくなったのか?その理由は広い意味での情報革命にあります。

■  企業より顧客のほうが製品・商品に詳しい
恐らく情報革命前は、詐欺集団に近い企業もけっこうあったのではないかと思います。すなわち、大して顧客に価値を提供していないのに利益を生んでいた企業です。これが可能なのは、企業のほうが情報をいっぱいもっており、顧客を騙すことができたからです。しかし、近年の情報革命により、顧客のほうが企業より情報を多く持っていることも少なくなくなってきました。騙されなくなったのです。そこで一時期、経営戦略論は詐欺技術っぽい発見をしてきたのですが、すぐに修正に迫られ、すぐに原点回帰し修正されていきました。逆に、詐欺っぽい企業にとっては、「そうか、顧客へ価値を提供するという観点が必要なのか!」ということがむしろ発見なのかもしれません。

■  明治大学の学派
去年の話ですが、明治大学の社会人向け授業に出ていたことがあります。マーケティング論の授業でしたが、技術的な話はあまりなく、ひたすら、「最終顧客への価値提供」という原点に戻り考えようというものでした。学生は、40~50代くらいの、営業部門の管理職、特に製造業の人が多かったようですが、「なるほど確かに今まで自社製品ありきで、それを売りつけることばかりだったなぁ」という反応か、「そんなことは当たり前ですでに実践している。もっと具体的なことを教えてほしい。」という反応が多かったように思います。彼らの主張そのものを否定している人はほとんど見受けられませんでした。

■  明治大学の学派のマーケティング
基本的にBtoBマーケティングの授業だったのですが、根本的な考え方はBtoCとは変わらないといいます。なぜなら、BtoBであったとしても顧客の顧客の場合によってはさらに先の顧客である最終顧客が本当の顧客であると考えているからです。今目の前に対峙している顧客は、確かに顧客ではあるけれども、我々が本当に価値を提供しなければならない相手はその先にいる最終顧客なのです。彼らは、顧客から提示された処理をただこなすだけのことを「下請け」とよびマーケティングではないといいます。「マーケティング」は、顧客がすべき問題を発見してあげ、解決する手段を提供することにあるといいます。そのためマーケティングは特定の部署が行うものではなく、全ての部署が協力して行うものであるといいます。また、マーケティングは唯一、外注化できない企業活動であるといい、マーケティングをほかの企業にやらせることは、自分たちが下請けになったことを意味します。(営業は外注できますので誤解のないように)

■  最終顧客は生活戦略を実行している
最終顧客は生活戦略を実行しています。たとえば、こどもに何を買ってあげれば一番喜ぶだろうかと考えているとき、その選択は戦略的でもっとも効果があるものを選ぼうとします。つまり、おもちゃ屋はそのもっとも効果が高いおもちゃを教えてあげることで、最終顧客に価値を提供します。おもちゃ屋へおもちゃを卸している卸売りは、直接の顧客はおもちゃ屋であり、おもちゃ屋の経営戦略上の問題を解決するような活動をしておもちゃ屋に価値提供をすべきです。そのためには結局、最終顧客であるこどもを喜ばせたい願望をどうやったら解決されるかを理解しなければいけないでしょう。そしておもちゃを作っている会社は、卸売りの経営戦略上の問題を解決することによって価値を提供し、そのためには、やはりおもちゃ屋の経営戦略も、最終顧客の生活戦略も解決するようなものでないと、卸売りにとっても価値は高くないと考えられます。

■  とりあえず製品を作ってから、というのはあり得ない
そうすると、とりあえず好きな製品を作ってから「さてどうやって売ろうかな」という行為はあり得ないということになります。まず、自分たちが顧客にどんな価値を提供できるのかを考え、そのために最適な「手段」としてどんな製品が自分たちに作れるのかを考え、製品を作り始めなければならない、と彼らは言います。製品は手段であり、価値提供が目的です。目的を見失ってはいけませんし、そのために手段は柔軟に選ばなければなりません。日々忙しければ忙しいほど、特定の手段に、すなわち特定商品にこだわり、目的、すなわち顧客への価値提供を見失ってしまいがちです。そんなことを考える今日この頃でありました。